【省力化枠】ものづくり補助金(17次)のポイント解説

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経営革新のための設備投資などに支援されるものづくり補助金の17次の公募要領が発表されました。ものづくり補助金は、中小企業等が応募できる経営革新のための設備投資を支援する補助金です。17次では、今回から新たに始まった「省力化(オーダーメイド枠)」が募集されます。(製品・サービス高付加価値枠、グローバル枠は今回は募集を行いません)
締め切りは3月1日までと申請受付から締め切りまで2か月と短く、あまり時間はありません。お早めにご確認ください。
本編では、ものづくり補助金(17次)の概要についてポイント解説をします。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の17次(省力化枠)では中小企業が制度変更等に対応するために、革新的な製品・サービスの開発生産プロセス等の省人化を行い、生産性を向上させるための設備投資等を支援する補助金です。
17次の公募期間は12月27日に開始し、応募期間は2月13日(火)~3月1日(金)17時までになっています。

▶公式HP:ものづくり補助金総合サイト
▶17次の公募要領

補助金の特徴について

ものづくり補助金・省力化枠の特徴、補助上限額、補助率について説明いたします。

申請枠と補助額の上限と補助率

ものづくり補助金・省力化枠(オーダーメイド枠)は、人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専門設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取組に必要な設備・システム等を支援する補助金になります。
デジタル技術等を活用した専用設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等の活用によって生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータとの連携を通じて、オーダーメイドに設計された機械装置やシステムを導入することに対して補助が出ます。単なる機械装置の導入については補助の対象外となります。

省力化(オーダーメイド)枠
概要 人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専門設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取組に必要な設備・システム等を支援。
補助金額 100万円~8,000万円(上限金額は企業規模による)
補助率 【補助金額が1,500万円まで】1/2、2/3(小規模・再生事業者)
【補助金額が1,500万円を超える部分】1/3

※大幅賃上げに係る補助上限額引上げの特定があります。この特例を活用する場合は、後で説明する要件に加えて追加の要件があります。

どのような投資に出る補助金なのか

補助対象となる経費は以下の通りです。補助事業として使用する者に限り補助を受けることができます。

機械装置・システム構築費 ①機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用に要する経費
②専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費
③改良・修繕又は据付けに要する経費
運搬費技術導入費 運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
技術導入費 知的財産権等の導入に要する経費
知的財産権等関連経費 特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用等
外注費 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等
の 一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
専門家経費 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
クラウドサービス利用費 クラウドサービスの利用に関する経費
原材料費 試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費

※対象経費によって補助額に上限があります。

ものづくり補助金の申請ができる事業者・要件について

ものづくり補助金の対象者や基本的な要件についてまとめました。ものづくり補助金は主に中小企業が申請できる補助金ですが、一部対象事業者や申請ができない場合があるので注意が必要です。特に重要な、またよく質問をいただく部分をまとめました。

主な補助対象者
中小企業者(「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定するもの)、特定技事業者の一部(※1)、特定非営利活動法(※1)、社会福祉法人(※1)
※1 適用のためには別途要件あり
※2 個人事業主は対象になります

【中小企業者(組合関連以外)】について
資本金または従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社または個人

業種資本金常勤従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業
(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
5,000万円100人
小売業5,000万円50人
ゴム製品製造業
(自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに
工業用ベルト製造業を除く)
3億円900人
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円300人
旅館業5,000万円200人
その他の業種(上記以外)3億円300人

主な補助対象外
・財団法人、社団法人、医療法人及び法人格のない任意団体
・過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
・みなし大企業(大企業が株や出資をしている場合でその比率が高い場合など)
・同一法人・事業者が同一の締め切り会において複数申請を行っている場合
・補助の目的が同一又は極めて類似している事業の補助をすでに受けている場合
・直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えている事業者

▶補助対象、対象外ともに上記はすべてを網羅しておりませんので、対象者の詳細についてはこちらのp7-10をご確認ください。

ものづくり補助金の基本要件について

基本要件

下記の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定している必要があります。(付加価値額・賃上げ基本要件)

  1. 事業者全体の付加価値額(※1)を年率平均3%以上増加
  2. 給与支給総額(※2)を年率平均1.5%以上増加
  3. 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
    ※1 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの。
    ※2 給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)。

※給与支給総額の増加目標が未達の場合、給付された補助金の返還規定があります。

省力化枠(オーダーワイド枠)要件 ※基本要件に追加になります

下記のすべての要件に該当する必要があります。

  1. 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること
    ※ 労働生産性は「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」とする。完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に「0.1」とする。
  2. 3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
    ※ 投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」とする。
  3. 外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること
    ※事業終了後、実績報告時点で確認をします。
  4. 本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。

※大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特定については、上記に加えてさらに要件が追加されます。詳しくは公募要領をご確認ください

補助金を受給するまで、受給後の流れについて

多くの補助金にしているポイントにはなりますが、特に重要な点をまとめました。

補助金受給までの大事なポイント
・補助の対象になるのは採択後(交付決定後)に契約・購入したもの
・採択=全額補助が出るわけではなくその後も審査が続く
・交付決定後・補助金受給後も定期的に報告を行う

公募から採択まで

ものづくり補助金を申請するためには、決められた公募期間に申請をします。必要書類は、事業計画書や決算書、加点に該当することを証明する書類などを準備します。
公募の締切日以降に審査が始まります。早めに申請をしても早く結果がもらえるわけではなく、一斉に審査がされます。審査は書類審査になります。申請からだいたい2か月後(その公募回によってスケジュールは変わります)採択事業者(補助金交付候補事業者)が発表されます。

採択(補助金候補者発表)から受給まで

採択された後は、交付申請をし事務局から交付決定を受ける手続きをします。交付決定後、ようやく新事業を始めることができ、設備などの購入ができるようになります。交付決定通知日前に支出した経費は補助対象外になります。補助事業遂行状況報告書を途中提出し中間監査(確認)を受けることになります。事業が完了は実績報告書を提出、確定検査を受け、審査を経て補助金額が確定します。その後、補助金精算払請求を行いようやく補助金を受け取ることができます。

受給後

事業終了後も取得した財産の管理や実績報告を随時行うことになります。

審査のポイント

ものづくり補助金は、申請をすれば必ず採択されるものではありません。審査の結果、補助金の目的に沿った、また効果の高い事業計画が採択されることになります。以下の審査項目については10ページ程度の事業計画書にまとめて提出をすることになります。
審査の項目や加点になる項目については「公募要領」内で明確に記載されています。

審査項目について

ものづくり補助金・省人化(オーダーメイド)枠の審査項目をまとめました。

①補助事業者としての適格性

基本的なところですが、補助対象事業者であるか、また「基本要件・省人化(オーダーメイド)枠要件」を満たす取り組みであるかが審査されます。この部分はこちらで説明した内容になります。

②技術面

とても重要な部分になりますが、補助金を使用した投資・取り組みが、革新的であるか、課題に対する帰結の方法が明確で具体的であるか評価されます。
新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計)・デザイン、アイディアの活用等を含む)の革新的な開発、または省人化及び生産性向上に資する生産プロセス改善やサービス提供方法の改善の取組となっているか、という点は特にみられるポイントになっています。
これらについては、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」または「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」を参考にし、ガイドラインや指針に沿った取り組みであるかどうかも審査の対象になります。

開発段階で課題や目標が明確になっていてその課題への解決方法が明確かつ妥当かどうか、また既存技術や競合に対して優位性があるかどうかも審査されます。
また、これらの開発を行うことができる技術的能力が備わっているかもポイントになります。

省人化(オーダーメイド)枠においては、システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムをもとに、カスタマイズで行う開発方式や、ゼロからオーダーメイドでシステムやソフトウェアを開発する方式になっているか(つまり、設備やシステムの導入がオーダーメイドに行われるか)がポイントです。
また、人手不足解消に向けての専用設備の導入や革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取組に必要な設備・システム投資等となっているかも審査されます。

③事業化面

どんなに素晴らしい事業計画も、“絵にかいた餅”に終わってしまったら意味がありません。取り組みを実行する能力があるかどうかも審査の対象になります。
例えば、組織体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)設備購入や取組みを行うための財務状況や資金調達の可能性について、社外との連携体制などが確認されます。

また、この新製品・新サービスが市場ニーズに合っているか、また客観的な指標や事前のリサーチで事業化した際に利益が出る取り組みであるかも審査されます。競合他社との差別化や優位なポイントのアピールも必要です。
そして、これらの計画の実現可能性(例えば、遂行方法、スケジュール)が妥当かどうかも審査されます。当然ですが、“補助金ありき”な計画ではなく、この投資を行うことによる費用対効果についても審査対象となります。

④政策面

地域の特性を生かして高い付加価値を創出できるか、また地域の雇用の創出や経済的波及効果がある計画であるかが審査されます。また、ニッチ分野において適切なマーケティングがされ、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理が行われているか、といった点からも審査されます。
その他にもデジタル技術の活用、低炭素技術の活用など、国が力を入れて推進している項目が取り入れられているかなども審査されるポイントになります。

加点について

ものづくり補助金(17次)では、投資・取組にあわせて決められた項目に取り組むことで加点がもらえます。この加点については、あくまで任意の項目であり、また内容によっては取れないものやハードルが高いものもあります。
加点には4つのカテゴリーがあります。

①成長性加点

有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者

②政策加点

・創業・第二創業後間もない事業者
・パートナーシップ構築宣言を行っている事業者など、その他にも10つの項目があります。

③災害等加点

有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者

④賃上げ加点

・給与支給総額の増加、事業場内最低賃金の水準
・被用者保険の適用拡大の対象

⑤女性活躍と魚推進の取組加点

・えるぼし加点
・くるみん加点

口頭審査

ものづくり補助金(17次・省人化枠)では、一定額規模以上の申請を行う事業者については口頭審査が行われます。4月1日~12日の間にオンライン(Zoom等)にて実施されます。
この審査は申請事業者ご自身が対応する必要があり、第三者の同席などは認められません。

採択の可能性を高めるためには

採択の可能性を高めるためには、審査項目を適切に盛り込み、短い審査時間の中で分かりやすく読みやすい事業計画書を作成することが第一になります。
また、採択の可能性を少しでも上げるためにできることとしては、事業計画書の精度を上げること以外にも「加点」を取る方法があります。この「加点」には「創業加点」のようにその時のステータスで決まるものもあれば、「賃上げ加点」など企業努力によって取れるもののほか、政府がその時推進したい項目に参加登録することによって取れる加点などがあります。

ものづくり補助金の公式ポータルサイトで発表されている統計データによると、
加点の個数が0個の場合の採択率は41.2%、1個:56.1%、2個:72.3%、3個:78.4%、4個:86.7%
と発表されており、加点が多ければ多いほど採択の可能性は高まることは見て取れます。
一度検討をされるのがよいかと思います。

ものづくり補助金の採択率は30%~60%。
1次から13次までで最も低かったのが4次の30.8%、最も高かったのが9次の62.1%です。ここ最近は60%程度の採択率が続いています。
ものづくり補助金の公式ポータルサイトで発表されている統計データを見ると、支援者(例えば認定支援機関や、中小企業診断士、行政書士、民間コンサルなど)が関与せず自力で申請される事業者様は約3割程度、残りは報酬の有無を問わず支援者が関与しているようです。支援者が無い場合の採択率は44.8%、支援者が関与する場合は60~70%の採択率になっています。

▶参考:ものづくり補助金公式ホームページ「データポータル

まとめ

以上、ものづくり補助金の17次の内容についてポイント解説をしました。
ものづくり補助金の申請は、①自社や行いたい投資(事業)が要件を満たしているかの確認、②事業計画書の作成、③加点の検討と取得、④申請作業に加えて、⑤無事に採択された後も実際に補助金を受け取るまで手続きが続きます。
初めての補助金申請の場合には、想像以上に時間が取られることも多く、また実際に補助金を受け取るまでが一連の手続きということもあり、不安が付きまとうのではないでしょうか。当事務所では、ただ手続きのサポートを行うだけでなく、補助金制度の説明や、ご希望があれば採択後、補助金交付後の申請や実績報告などもサポートをしております。
ものづくり補助金の申請手続きでお困りの方は、当事務所に一度ご相談ください。

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ネクステップ行政書士事務所では、ただ手続きのサポートを行うだけでなく、補助金制度の説明や、ご希望があれば採択後、補助金交付後の申請や実績報告などもサポートをしております。

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